【2852】逃げたいと思う私は擬態うつ病でしょうか

Q: 20代の女性です。現在アメリカに留学して数年経つのですが、勉強をすることがつらく、自分は落ちこぼれなのだと感じます。一年目は英語がわかるようになるのが楽しく、知り合いの家で一緒に住んでいたためホームシックもなく過ごしていました。二年目から講義のレベルが上がって行き、自分は井の中の蛙だったのだとわかり勉強に対する意欲もなくいつも逃げ出したいと思うようになりました。勉強をしなければ、と教科書やパソコンを立ち上げるのですが全くはかどらず、何もせず夜中の3時4時起きていたり朝までボーッとしていることが増えました。「勉強しなければいけないから起きていないといけない」「眠いけど、寝てはいけない」と感じ、どうせ勉強しないのなら寝たほうが身体にはいいとわかっているのに、何もせず一睡もしないまま朝になり寝不足で学校に行く事が増えました。

昨年の秋に、死にたい逃げ出したいという気持ちがピークにたっして大学をサボってしまいました。すっきりする気持ちよりも、とうとうサボってしまったという気持ちが強く、呆然としてしまいだらだらと涙がでました。母親に相談したところ「なぜそんなに思い詰めるまでほうっておいたのか」「なぜ大学をサボったのか」と言われ責められているように感じ、それから相談できなくなってしまいました。その時期に、初めて単位を落としました。そのすぐ後に日本へ一時帰国をしたのですが、最初の一ヶ月は泊まり先の家(私には実家がありません)にいても「もう頑張れない」と泣いてばかりいました。単位を落としてしまったことで、とうとう落ちこぼれてしまった、チャンスをもらっているのに自分は駄目な人間と感じました。あとの数ヶ月はでかけたり、知人と会ったりして楽しかったので「よい息抜きができた」と感じたのですが、半年以上経った今、じわじわと昨年の秋頃の精神状態に戻って行っているのがわかって、また単位を落としたり今より落ちこぼれてしまうのではないかと本当にこわいです。

小規模な大学に通っているのですが、毎日出席し課題も提出するので真面目な生徒だと思われていて、それもつらいです。昔から叱られたりガッカリされるのがこわくて、いつも恐怖心から課題を提出していました。本当は頭もよくないし、勉強なんて好きじゃないのに、知人から「できる人」だと思われたり講師から「真面目な子」と思われていることが本当にきついです。課題が間に合いそうにないときや、試験前に「もうだめだ」となるとき、落第点をとることよりも講師や親にガッカリされることのほうが何倍も怖くパニックになります。死にたい逃げたいと目の前のことに集中できなくなってしまうのです。本当は怠け者で能力不足なのに、失望されたくなくて必死に自分を取り繕っているような感じです。早く失望されて楽になりたい、でもガッカリした態度をとられるのが怖いと矛盾した気持ちで過ごしています。

実は留学する前に、家庭の事情でとても揉めていて、留学したことでやっと逃げ出せたと感じていました。留学してすぐのころは昔のことを思い出して、今幸せだと感じているうちにしにたいと落ち込んだりしていたのですが、大学で良い成績をとっている間は忘れることができていました。今は大学そのものがストレスで、日本で精神的に逃げ帰れる場所(実家)もなく、どうすればいいのかわかりません。今お世話になっている家の方に相談することもできません。すごくいい方なので、相談したら親身になって甘い言葉をかけてくれるのがわかっているので、余計言えません。悩んでいることを悟られたくないし、困らせたくないです。その人のためというより、自分のためです。弱音を晒すのがこわくて、ネットの顔も知らない人にしか相談できません。誰にも会いたくないし、ずっと自分の部屋で一人でいたいと思ってしまいます。

不安な気持ちで過ごす中、定期的にストレスがピークに達して死にたい逃げ出したいという気持ちでいっぱいになると、ネットのうつ病診断をするようになりました。どれもうつ病に近い状態か、うつ病だという結果がでました(ネットの診断があくまで目安なのはわかっていました)。病気だとわかれば安心できると思ったのに、結局うつ病だとしてもどうにもならないじゃないかと、余計つらくなりました。独りで悩むより医者にいってきちんと診断をしてもらうことも考えたのですが、万が一本当にうつ病だった時の事を考えると、周囲の人や一緒に暮らしてる方にバレるのが怖くて行けません。大学のカウンセラーを尋ねるのも怖いです。顔をあわせて話さなければいけないからです。最近擬態うつ病の存在をしり、特徴(逃げたいと感じる等)を調べるうちに、自分は擬態うつ病なのではないかと思うようになりました。加えて、留学には闘争期というものがあることを知り、自分は今闘争期なのではとも思います。ネットで知った中途半端な知識しかなく、自分はなにかの病気なのか、それとも留学のストレスで逃げ出したいのをうつ病だと思いたいだけなのかわかりません。

ここ数年は上記のような状態をぐるぐる繰り返しています。Q&Aの他の方の例をよんで、林先生にはっきりとした言葉を頂きたいと感じ今回相談しました。もし回答が頂けた場合でも、それがあくまで事実を述べるものであり悩み相談ではないことは理解しています。それを理解した上で、今の精神状態がどういうものなのか、判断していただけたらと思っています。長々とかいてしまいすいませんでした。

林: うつ病の可能性が高いと思います。精神科を受診してください。

一年目は英語がわかるようになるのが楽しく、知り合いの家で一緒に住んでいたためホームシックもなく過ごしていました。二年目から講義のレベルが上がって行き、自分は井の中の蛙だったのだとわかり勉強に対する意欲もなくいつも逃げ出したいと思うようになりました。

このような始まり方だけを見ると、

留学のストレスで逃げ出したいのをうつ病だと思いたいだけ

と考えたくなることは理解できます。というより、症状の始まりの部分だけを見れば「留学のストレスで逃げ出したいのをうつ病だと思いたいだけ」と考えるほうが自然でしょう。けれどもその後の経過と症状からは、むしろうつ病の可能性のほうがはるかに高いといえます。

最近擬態うつ病の存在をしり、特徴(逃げたいと感じる等)を調べるうちに、自分は擬態うつ病なのではないかと思うようになりました。

何をどう調べられたのか不明ですが、「逃げたいと感じる」は決して擬態うつ病の特徴とはいえません。何かいい加減なものを調べたか、あるいは調べた内容を誤解しておられるのだと思います。

独りで悩むより医者にいってきちんと診断をしてもらうことも考えたのですが、万が一本当にうつ病だった時の事を考えると、周囲の人や一緒に暮らしてる方にバレるのが怖くて行けません。

その気持ちは理解できますが、そんなことを言っていられるレベルの症状ではないと思います。精神科を受診してください。

(2014.12.5.)

05. 12月 2014 by Hayashi
カテゴリー: うつ病, 擬態うつ病, 精神科Q&A