【2547】小学校2年から中学2年までチック症が続いている‏

Q: 私は30代女性です。中学2年の息子のチックのことで、悩んでおります。今までの経緯を説明いたします。 小学校1年生頃より、まばたきのチックが時々あるな~と感じはじめ、小学校2年生になるころには、はっきりとした、鼻すすり、咳払いのチック症になりました。学校の先生はチックと知らないようで、息子に注意を何度もしていたようで、息子が先生から怒られて困ると私に訴えたことにより、小児精神科医を受診し、チックと診断をしてもらい、学校にも注意などをせずに見守っていただくように対応してもらいました。 当時の小児精神科医の先生は「チックは癖と同じなので、注意をしたりせずに見守るのが一番です。将来、本人が生活に支障がでたり、いじめられたりするようであれば、また相談に来てください」との診断でした。 それ以来・・・中学2年の現在まで、ずっと咳払い、鼻すすり、まばたき、手で鼻をこする、などいろいろなチック症が出ていましたが、本人は少しは気になる時もあったみたいですが、今まで通常の生活をしてきました。 今回、息子が嫌なことをしてもらおうとしたら(私の買い物に付き合わそうとさそったら)「まばたきが止まらなくなった、咳払いで呼吸が苦しい。息ができない。」と言い出したので、「それはチックだから病気じゃないから大丈夫よ。」と言い、「何か心にかかえていたらチックはでてくるから何か嫌なことがあったらいってごらん。」と言い、「買い物ついて行きたくない。」と息子が言い、息子の激しいチックの症状はその時おさまりました。 ご相談ですが・・・息子のチックの症状はだんだんひどくなるようで、もう一度病院を診察しようと思うのですが、薬物療法は発達に影響があったり、眠気が出たりとつらい副作用のことが書いているのでとてもつらいです。私の母、姉(長女)姉(次女)3人が統合失調症で薬の辛い副作用はずっと見てきたので、薬は使いたくないのですが、生活に支障がでるのであれば、使ってあげた方が息子のためなのでしょうか?
 関係ないことかもしれませんが、その他息子の性格について書かせていただきます。・すごく人目を気にします。知らない人の所でも、私が会話をしようとすると嫌がることがあります。学校とかはもちろん嫌がります。・手を洗わないと大切なものをさわれません。潔癖なところがあります。 でも、部屋は片付いていないです。・忘れ物は多いです。学校のプリントなどはほぼ出すことはありません。 ママともだちに聞いてよく学校のことを知ることが多いです。・おねしょを時々します。・身長は160センチ 体重50キロです。 お忙しいところ、長文を読んでいただきありがとうございます。どうぞご回答のほどよろしくお願い申し上げます。

 
林: もう一度病院(できれば小児精神科)を受診してよく診察していただき、治療方針を立てていただくことをお勧めします。

小学校2年で受診されたとき、

当時の小児精神科医の先生は「チックは癖と同じなので、注意をしたりせずに見守るのが一番です。将来、本人が生活に支障がでたり、いじめられたりするようであれば、また相談に来てください」との診断でした。

このように診断されたのは、この時点としては適切だったと思います。
けれども、それから6年たった現在でもチックが続き、しかも時に激しくなる、このことひとつをとっても、もう一度診察してもらう必要があると言えます。上記、小学校2年の時点での医師の診断と対処は、チックという症状一般に対するものとしては適切ですが、チックは他の病気の徴候ということがあり得ますので(つまり、単なる「癖」の範疇におさまらないものがあり得ますので)、このまま様子を見ることは勧められません。

チックが長引いているということ以外にも、この【2547】のケースではもう一度診察を受けるべきと考える根拠があります。

その一つは、

私の母、姉(長女)姉(次女)3人が統合失調症

という家系であるということです。近い親族内にこれだけ統合失調症を発症した方がいらっしゃるということは、統合失調症になりやすい遺伝子を持つ家系であると判断できます。
通常はチックは統合失調症とは何の関係もありません。けれども、統合失調症とチックの両方が発生しやすい家系というものが実際には存在します。さらに、そのような場合、強迫症状との関連も深いことも医学論文として発表されています。したがって、

・ 手を洗わないと大切なものをさわれません。潔癖なところがあります。 

これは、これだけで強迫症状とまでは言えませんが、強迫の傾向があるとまでは言えますので、チックの症状と統合失調症の家族歴とあわせると、無視できない所見ということになります。
そうなりますと、

・ すごく人目を気にします。

・ 忘れ物は多いです。学校のプリントなどはほぼ出すことはありません。 

・ おねしょを時々します。

これらも所見としての意味を持ってくることになります。これらは一つ一つを取り上げてみれば、性格の傾向の範囲内とみるのが自然ですが、この【2547】のケースの他の所見とあわせると、病的徴候としてクローズアップされてきます。

したがいまして結論は回答冒頭の通りで、もう一度病院(できれば小児精神科)を受診してよく診察していただき、治療方針を立てていただくことをお勧めします。

(2014.2.5.)

05. 2月 2014 by Hayashi
カテゴリー: 強迫性障害, 精神科Q&A, 統合失調症 タグ: |