【4646】気分の落ち込みはないが、脳の働きだけ低下する感覚がある

Q: 26歳女性です。
仕事で多忙な日々が続くと突然下記のような症状が現れ、数日経って仕事が落ち着くとともに平常に戻るということが社会人になって数回起きています。
・声が出なくなる
・見慣れた漢字が読めなくなる
・些細なことでも判断に時間を要する
・当たり前の知識や現象が初めて見聞きすることのように感じる

林先生にご意見を伺いたいと思ったのは、上記の症状が出ている間も気分の落ち込みがないためです。
毎日よく眠れ、食欲もあり、勤労意欲も自己肯定感も高く、部屋も片付いています。
同僚から見ても、(声が出ていない時を除けば)いたっていつも通りで、コミュニケーションにも問題はないそうです。
一度上記のような状態になっている時に心療内科を受診し、こちらに記載したことと同じ内容を話しましたが、先生曰く「話してる様子からは特に異常が見受けられない」とのことで、診断や処方等はありませんでした。
自分自身では、気持ちの上では普段通りにも関わらず、例えるなら脳の働きだけがインターネットで通信制限がかかり低速モードになったような、平常時の3割程度に勝手に抑制されているような奇妙な感覚があります。

これは何らかの病気、もしくはその初期症状なのでしょうか。
関係があるかは分かりませんが、普段の性格は「精神的に安定している」「あまり落ち込んだり怒ったりしない」と言われることが多く、高校や大学等で受けた心理に関するテストでも同様の結果でした。
気分の落ち込みがないのは上記のような性格が影響しているのでしょうか、それとも脳の働きだけが低下する病気等があるのでしょうか。
気分の落ち込みがないためか、最初に挙げた症状が出ている間は、喋れなくなっている時すら「自分は普段通りに思考できているし、何も問題ない」と正常化して状況を積極的に改善しない傾向があり、今後同様の状態に陥った際に正しい対応を取るためにも、この状態についてや放置するリスクについて知っておきたいと考えています。
長文で申し訳ございませんが、見解をお聞かせいただけますと幸いです。

 

林:
上記の症状が出ている間も気分の落ち込みがないためです。

気分の落ち込みが自覚されなくても、うつ病ということは十分にありえます。

一度上記のような状態になっている時に心療内科を受診し、こちらに記載したことと同じ内容を話しましたが、先生曰く「話してる様子からは特に異常が見受けられない」とのことで、診断や処方等はありませんでした。

話してる様子からは特に異常が見受けられない」だけで病気でないと判断することはできません。

自分自身では、気持ちの上では普段通りにも関わらず、例えるなら脳の働きだけがインターネットで通信制限がかかり低速モードになったような、平常時の3割程度に勝手に抑制されているような奇妙な感覚があります。

このように、「脳が働かない感じ」は、うつ病の症状として十分にありうるものです。

但しうつ病以外の病気でもこのメールに書かれているような症状になることは十分にあり得ます。病院を受診してください。念のため脳の検査も受けられたほうがいいと思います。

(2023.3.5.)

05. 3月 2023 by Hayashi
カテゴリー: うつ病, 精神科Q&A