【4509】私をもう 1 人の自分が撮影している

Q: 私は20代女性です。私には小学5年生頃から,私を撮影する様に見ているもう1人の自分がいます。

もう1人の自分は姿も形もありません。ただ私を見ているような視線があるだけです。他人ではなくもう1人の自分と言ったのは,もう1人の自分視点に切り替えられることと,私の本来の意識がもう1人の自分にあって,実体のある私はその場に合わせて演技をしているような感覚があるからです。私の意識を持ったもう1人の自分が私を動かし,それに反応して実体のある私が動いたり喋ったりして,その様子をもう1人の自分が撮影しているといった感じです。

もう1人の自分は例外を除いて必ず現れます。その例外とは自分の部屋で1人でいる時です。その時だけは現れません。また家族と一緒にいる時は存在感が薄くなります。

このもう1人の自分のおかげで羽目を外さずに済んだことは何度もあり,感謝しています。また,もう1人の自分は危害を加えるような真似はしないので他人に迷惑をかけるなどといった大きなトラブルは起きてません。むしろ私を無難に振る舞うように仕向けます。

しかしそれ以上にストレスです。玄関を開けて外に出た時から現れるので,近所にご飯を買いに行くだけでも疲れます。演技のように振る舞うため人からは偽物の自分を私として評価されてる気がして人を信じきれません。そのせいで引きこもりがちになりました。しかも歳を重ねるにつれてどんどん存在感を増しているので,ストレスも比例して大きくなっています。

もう1人の自分は一体何なのでしょうか。もう1人の自分はどうしたら消せるのでしょうか。また,もう1人の自分は消してもいい存在でしょうか。もう1人の自分を消すと自制が効かなくなってトラブルを起こしやすくなりそうな気もします。

 

林:
もう1人の自分は一体何なのでしょうか。

解離の一症状です。イマジナリーコンパニオン(【3037】頭の中に友達がいます などをご参照ください)、幽体離脱(【4508】外から自分を見ていました【3804】子供の頃の幽体離脱のような奇妙な体験について などをご参照ください)に似た症状で、ただし定義上はどちらにもあてはまりませんが、メカニズムとしては同じと考えていいと思います。

また,もう1人の自分は消してもいい存在でしょうか。もう1人の自分を消すと自制が効かなくなってトラブルを起こしやすくなりそうな気もします。

消すことによって問題が発生する可能性が確かにあると思います。
けれども、

しかしそれ以上にストレスです。玄関を開けて外に出た時から現れるので,近所にご飯を買いに行くだけでも疲れます。演技のように振る舞うため人からは偽物の自分を私として評価されてる気がして人を信じきれません。そのせいで引きこもりがちになりました。しかも歳を重ねるにつれてどんどん存在感を増しているので,ストレスも比例して大きくなっています。

という状態であれば、消す方向で考える必要があるでしょう。

おそらくこの【4509】の質問者には、このメールに書かれていないもっと大きな問題があると思います。(それがこのような解離症状がある場合の常です)
今の症状を消すためには、精神科を受診し、その「書かれていないもっと大きな問題」の解決に向かって進む必要があると思います。

(2022.6.5.)

05. 6月 2022 by Hayashi
カテゴリー: 精神科Q&A, 解離性障害