【4457】病的に攻撃的で神経がたかぶりやすいのは単なる性格でしょうか

Q: 37歳の元配偶者について質問です。

私は彼が20代半ばのときに結婚しましたが、彼の病的な性格が主な原因で数年前に離婚に至りました。
共に生活するようになってまず驚いたことは、時折夜中に突然叫んだり徘徊したりすることでした。その場合非常に激昂した状態で、罵声もひどく、本人の話では、「夢遊状態のまま(マンションの)隣人宅に行ってしまったこともある」「放っておいたら自分は無意識のまま飛び降りかねない」そうです。窓ガラス(サッシの丈夫なもの)を素手で叩き割ってしまったこともあります。
ただし通常、本人に叫んだ、徘徊したという記憶はありませんでした。

また、被害妄想がひどく、 自家用車に微細な傷(目をこらしても私には認識できませんでしたが、彼曰く「×印にわざとつけた跡がいくつもある」そうです)を見つけては、隣家の子供の仕業であるとまったく根拠のない思い込みをしてしまいました。根拠も証拠もなく、また日頃そのような兆候もまったくないのに、一度被害妄想を抱くとこちらがたしなめても絶対に考えを変えず、「こういうことは俺はよくわかるんだ」の一点張りで、 果てにはその家に無理やり怒鳴り込みに行き、近隣に響き渡るような声でありとあらゆる罵詈雑言を浴びせてしまいました。
そのような大きなトラブルに至らなくても、周囲の人が自分のことを笑っている、悪口を言っている、と、根拠なく常に思っていて、その人たちに憎しみを向けているようでした。

そのほか、閉所恐怖症でエレベーターや地下鉄には一切乗れず、また病的に神経質で、彼が寝ているときに他の部屋で電気がついているだけで(隣接しておらず、明かりがまったくもれなくても)激昂します。私が遅れて床につく場合は細心の注意を払って、余計な物音や気配は一切立てないよう息を殺していましたが、エアコンを切る小さな音だけで飛び起きて反射的に怒鳴ります。

思い込みが激しいのと、また非常に気が小さく、自分が病気ではないかと思い込むと、(客観的には何も症状がないにも拘らず)救急車まで呼んでしまったこともあります。

自分の感情がコントロールできないというか、 小さなことでイライラしたり自分が窮地に立つとパニックに陥り、あたりかまわずものすごい声で見境なく怒鳴りちらします。
たとえば、私がデパートでの駐車に手こずった際、パニックと苛立ちで助手席に座っていられなくなり、外に出て(誘導をするためではなく)立体駐車場全体に響くほどの声でわめきちらしました。ひとたび神経がたかぶると、決しておさえられないようです。

そのほかにも、自分の主張だけを通そうとし、自分に都合の悪いことは一切聞こうとしない。 聞く耳を持たないと言うより、聞こえていないのではないかという印象さえありました。

私は当時在宅翻訳の仕事をしていて、乳児の世話をしながらの納期厳守で時間的にとてもきびしい状況にあることが多かったのですが、そのような場合でも
「自分は今日パソコンを使いたい」
「明日が納期だからそのあとにしてくれる?」
「自分は今日パソコンを使いたい」
「悪いけど差し迫った用事でなければ明日に・・・」
「自分は今日パソコンを使いたい」

というように、自分以外の者の状況など(それが客観的には考慮に値するものであったとしても)まったく眼中になく、自分の要求をただ繰り返しつきつけるばかりです。これは、他人に対しても同じです。

周囲が善意でおこなったことも文字通り平然と仇で返すし、世話になった人であっても、ひとたび勘にさわれば「殺してやる」「放火してやる」などの脅し文句を向けます。
誰が見ても明らかな事実関係も平気で否定します。周囲の人に援助してもらってなしえたことも、「俺が全部一人でやった」と堂々と言いますし、それは、自分に都合が悪いからあえて歪曲しているというより、彼には本当にそのように思えてしまっているのではないかいう印象をたびたび受けました。

そして、上記のような行動をあちこちでするため、当然彼はいろいろな敵をつくってしまい自分の世界を狭めてしまうのですが、それに関して彼自身に問題意識はまったくありませんでした。たとえ非難や批判、たしなめを受けても、その人を逆恨みするばかりで、「自分には一点の非もなく、可哀想なのは自分。すべて周囲が悪い」という姿勢を変えません。いわゆる、自分の胸に手を当てるということが全くないのです。

彼は外国人で、本国は残念ながらメンタルヘルスの分野は非常に遅れています。そのためか、本人は自分のこうした性分を問題だとは思っておらず、専門家にかかるという発想もありませんでしたが、幼少時すでに、親が精神科に連れて行ったことはあるそうです。くわしいことは忘れてしまいましたが、おそらく夜驚のことでの受診だったようです。

これまで単に性格的な歪みだと解釈していましたが、ここまで一人の人間にいろいろな問題があることが私はとても気になっていました。
これは、やはり生まれ持った性格なのだとあきらめるべきなのでしょうか、それとも治療の可能性があるなんらかの病気なのでしょうか?

離縁しているのなら今さらよいのではと思われるかもしれませんが、私は2人の子供を養育しており、現在は彼から逃げて他県で生活していますが、彼は私の実家付近に住み続けており、私たちとの接触も求めているため、この先なんらかのトラブルに巻き込まれる可能性も依然として高く、不安です。
また、縁を切っているとは言っても、子供の父親である以上、あまりに反社会的なことをしてほしくありません。(これまでに暴力やストーカー行為などで複数の相手から警察沙汰にされています)
もし改善の余地があることなのであれば改善して、世間的に許されない行為を繰り返すことなく、彼にまともな人生を送って欲しいとも思います。

長くなってすみません。どうぞよろしくお願いします。

 

林: メール内容のうち、一部は統合失調症の被害妄想の色彩がありますが、全体としてみるとあまり統合失調症らしくなく(慢性化して人格が変化したケースではこのような形になる場合もありますが)、パーソナリティ障害の可能性の方が高いという印象です。
外国の方であるとのこと、文化の違いで説明できる部分もあるとは思いますが、それだけでは説明しきれないと思います。

これは、やはり生まれ持った性格なのだとあきらめるべきなのでしょうか、それとも治療の可能性があるなんらかの病気なのでしょうか?

統合失調症であれば治療の適応になりますので、その意味では精神科受診の意味はあるでしょう。パーソナリティ障害でも精神科での治療の対象にはなりますが、このケースは総合的にみて、治療はかなり困難でしょう。事実上は不可能ということになるかもしれません。

(2022.2.5.)

05. 2月 2022 by Hayashi
カテゴリー: パーソナリティ障害, 精神科Q&A, 統合失調症 タグ: |